本日、本会議が開議され、先日の予算特別委員会にて可決された平成22年度世田谷区一般会計予算ほか5件の特別会計予算が、賛成多数で可決され、成立しました。
来年度予算の概要については、後日詳しくお伝えしたいと思います。
※区議団ニュースを発行予定です。
本会議では、山内彰予算特別委員長より、委員会での質疑内容の報告があり、その後、各会派より意見表明を行いました。
我が党からは、高久則男議員(予算特別副委員長)が賛成の立場から意見を申し述べました。
あとは31日の最終本会議が開議され、国民健康保険法の改正に伴う条例改正が急遽必要となり、審議をされます。
(賛否一覧は写真参照)
■平成22年度世田谷区一般会計予算他5件に関する意見開陳
平成22年度世田谷区一般会計予算ほか5件の特別会計予算に賛成の立場から公明党世田谷区議団としての意見を申し上げます。
我が国の経済は、20年度の世界金融危機以降、過去にない景気悪化に見舞われており、厳しい経済状況が続いております。平成22年度の政府予算においては、歳入が約37兆円、一方歳出が約92兆円で44兆円にも達する国債発行と異例の財政状況になっており、極めて危険な財政運営でのスタートとなりました。
更に、この経済情勢のよどみは、賃金、雇用、デフレと国民生活を直撃しております。この状況を脱するため、一刻も早い経済回復の筋道をつけていかなければなりません。
さて、世田谷区の平成22年度予算案でありますが、特別区民税は給与所得等の減少によりマイナス51億円、特別区交付金は市町村民税法人税の急激な減少によりマイナス80億円の大幅減収になる見通しであります。この減少分を22年度においては、特定目的積立金の取り崩し、さらには、区債の増額にて対応することにしております。
しかし、2400億円の歳出規模を想定し、今後の基金残高を試算した場合は、三年後の平成25年度には基金残高は実にマイナス55億円になる予測されています。世田谷区では今までの基金の最低残高は平成11年度の294億円であり、誰もが経験したことのない、基金ゼロの緊急事態が3年後には到来する可能性があります。平成25年度危機をどう乗り越えるのか、区政運営が問われるところであります。
そうした状況を踏まえ、世田谷区においては、政策検証委員会の設置をはじめとし、行財政改革の取り組みの強化、区有財産の有効活用、外郭団体への補助金の見直し、さらには利用者負担の見直し等を今後進めることで財源確保に向けて、全庁的な取り組みを求めるものであります。
さて、予算特別委員会において各所管で取り上げました個別課題は、今後の推移を見守りたいと思いますが、特に、これからの区政を展望した上で、我が党として最重要課題として捉えている施策について、以下具体的に6点にわたり、申し述べたいと思います。
1点目は、保育待機児対策についてです。
22年度の認可保育園申込者は、3876人と今年度より、478人増加しています。
昨今の景気の低迷による家計収入が伸び悩む中で、共稼ぎをせざるおえない家庭がふえている背景があることは容易に推測されますが、今年度は665人分の定員を拡大したことに留まり、残念ながら現状での待機児は昨年以上の厳しさであると言わざるを得ません。
区は来年度にも1484人の定員増を行う予定で、その予定地を公表し準備をすすめている姿勢には、保育園待機児問題に対する危機意識が伝わってくるところでありますが、来年4月以降の新規開設に向けて所管部だけでなく全庁を挙げての取り組みを期待するものです。
さらに今後、23年度以降の整備に向けては、認可園分園の拡充、新旧保育ママ制度の促進、認証保育所への保護者助成の拡充など、あらゆる手法を活用しながら早急な整備を求める。また、国有財産の一部使用や区立都市公園の敷地を活用した保育所整備についても新たな検討をすることを求めておきます。
2点目は、就学前教育についてです。
区立幼稚園のあり方については、我が党は安易に廃止か存続か、あるいは、機能転換をするなどという議論ではなく、区全体の幼児教育の質をいかに高めるかという命題が先決であり、それを具現化する意味において、将来の世田谷区における豊かな人間性を育む幼児教育の実践・充実には、根幹を担う役割の機能を有した拠点、すなわち幼児教育センター機能の必要性を提案して参りました。
今後は具体的なセンター機能の役割として、人材の育成、研修機能、指導助言、幼稚園・小学校の連携、研究校への支援など、もっと広い見地から、区民、利用者、有識者などを交えた議論の場を設けるべきであることを強く要望しておきます。
3点目は、高齢者支援についてです。
わが党が主張してまいりました高齢者の見守りネットワークのハード面での取組みである、出張所・まちづくりセンターとあんしんすこやかセンターとの複合一体化がスタートすることは、評価をいたします。
しかし根幹は、高齢者の見守りネットワーク事業のコーディネート機能をいかに事業として体制づくりへ転換できるのかは重要な課題です。区の主導性のもと、早急にコーディネート体制の構築を求めます。
さらには、低所得高齢者の「すまい」の確保についても喫緊の課題です。国、都制度の高齢者専用賃貸住宅モデル事業などを活用しながら、2025年問題へ向けて、低所得高齢者が適切な負担で安心して暮らせる「すまい」世田谷モデルの実現へ区長の英断を期待しております。
4点目は、都立梅ヶ丘病院跡地利用についてです。
区では平成22年度、梅が丘跡地の整備を担当する専管組織を立ち上げることを公表し、来年度からの基本構想へ着手する体制が整いました。わが党はこれまでも、福祉先進都市世田谷として、梅ヶ丘跡地には、医療・介護・福祉の総合的な拠点を整備し、各支所地域との連携を強化することが、全区域内の地区サービスの展開を支え推進するためには大変重要であると主張してまいりました。
今後の整備に当たっては、そこで展開するサービスのあり方のみを検討するのではなく、総合拠点としての多角的な機能を配備した全国初の試みとしての大胆な展開を期待いたします。
また、次期「高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」「障害福祉計画」などの策定において、梅ヶ丘に整備する総合的な拠点の役割を、区の福祉政策全体の中でどのように位置づけるのか、今後の推移を注視してまいります。
5点目は、健康についてです。
初めにがん対策についてです。公明党が推進した女性特有の無料がん検診の無料クーポンが検診受診率の増加に大きく貢献しております。「日本対がん協会」の調査によりますと乳がん、子宮がん検診は2008年度に対比し、今年度は14.1パーセント、9.0パーセントとそれぞれ大幅アップになっております。世田谷区においても無料クーポン事業に引き続き、独自の予防型行政としての事業展開を求めるものであります。
次に、ワクチンの公費助成についてです。先の代表質問、予算委員会でも触れましたが、例えば子宮頸がんについて申し上げると、日本では年間15000人が子宮頸がんと診断され、うち約3500人が死亡していると推定されております。現在、地方自治体で子宮頸がんワクチンに対する公費助成に踏み切る自治体が増えております。
確かに国として取り組むべき課題ではありますが、将来的な医療費の抑制や国債を乱発する政府の姿勢を鑑みると、区自らがセーフティネット体制を構築しなければならない状況であると考えます。
今後は東京都の包括補助事業の活用を含め、世田谷区においても子宮頸がんワクチン、肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチンについて、公費助成実現への早急な対応を求めておきます。
最後に教育について申し上げます。
初めに、不登校対策です。不登校対策は急務の課題であります。不登校の原因は複雑な要因があり、一人一人の事象に対応することが必要であります。我が党がこれまで主張していたほっとスクール城山の老朽化に伴う改修、第三のほっとスクールの新設、さらにスクールソーシャルワーカーの拡充整備については、何れも進展が見られず、残念でなりません。早急な着手を強く求めでおきます。
次に、青少年問題についてです。
思春期における青少年の心のケアは、大きな社会問題としてクロ−ズアップされつつあります。次世代を担うべき青少年へのフォーロアップは、行政としての役割であると考えます。
社会や日常生活から離脱する青少年を一人も出さない、との気概をもった積極的な取り組みとして専門所管の設置と、多面的なケア体制の構築を強く求め、公明党世田谷区議団の賛成意見といたします。